会社を学ぶ
ヘラ絞りとは、金属板を回転させ、ヘラを押し当てて少しずつ変形させる手技術による加工です。
複雑多様なニーズに応える技術力
ナガセの製品は、半導体製造装置部品を主力に、電子機器、食品機器、医療機器、真空機器、通信機器、航空機、照明器、オブジェに渡るまで実に多岐に渡ります。昭島市玉川町ポケットパークのオブジェ『大地の声』や、ディズニーランド内のオブジェも製作しました。
2013年9月14日に1号機が打ち上げられ、2016年12月20日の2号機の打ち上げ成功も記憶に新しいイプシロンロケット。このロケットの先端部分も我々の絞り加工によるものです。
ヘラ絞りに、更なる価値を吹き込む
我々の強みは、ヘラ絞りに『プラスアルファ』ができること。特殊技術であるヘラ絞りによって生み出した製作物に、更に板金加工や、TIG溶接、YAG溶接、薄物溶接、レーザー加工、バフ研磨に至るまで、幅広い二次加工をほどこすことで、付加価値をつけることができるのです。
あらゆる二次加工を施す設備と体制が整っているため、複雑な成形を受注しても社内で完成までを一貫して担うことができます。
ヘラ絞りの魅力を体現する自社ブランド
もうひとつ我々が注力するのは自社ブランドE-SAGAN(イーサガン)の製品展開です。社名のナガセ(NAGASE)を反対から読むとE-SAGANとなります。
鍋や灰皿、ランプの傘など、かつてはヘラ絞りで作られたものも、現在この技術による製品は大変少なくなりました。しかし、可愛らしさやおもしろみのある丸みを出すことを得意とし、ユニークな成形が可能であるヘラ絞りの魅力を表現するため、生活雑貨を製作しています。
たとえば、工業製品ではヘラで撫でた跡が残らぬように加工しますが、雑貨ならば年輪のようにヘラ目をつけることでかえってデザインに風情が出ます。
自社ブランドを展開するもうひとつの目的は、技術力の維持です。たとえば外が銅で内がチタンの二重構造のコップ等、ユニークな製品を作り上げて展示する経験は、技術力向上にも繋がります。「こんなこともできる」という社員の手技術を披露してもらう意味でも重要な事業です。
手技術を極める
第1製造部(資材・ヘラ絞り・旋盤)、第2製造部(溶接・レーザー・組み立て)、品質管理部(仕上げ・検査)、それぞれの配属部門内で、携わる工程の専門性を高めていきます。もちろん、他部門の技術へのチャレンジを相談することは可能です。
資材であればフォークリフトを、ヘラ絞りにおいては玉掛けクレーンの技能講習修了証を取得します。
しかし、溶接には技能資格がありますが、ヘラ絞りにはありません。旋盤も、一般的な旋盤加工とは異なる技術が求められるため資格に拘ることはありません。
スキルアップにともない、更に高度な技術を要する成形を担います。評価によって役職付きとなり、昇給をしながら職人技を極めます。
女性職人の可能性
10年以上勤務する女性社員もいます。仕上げの研磨や、完成した製品の検査では女性社員が活躍しています。
「やりたい!」という気持ちがあるならば、女性も歓迎します。
ヘラ絞りには確かに体力が求められますが、女性にもできます。かつて女性のインターンシップ生も、学びながら上手になっていきました。単なる力技ではなく、体重移動にポイントがあるからです。大物の加工となれば、押し付ける力強さも必要になりますが、それもできないということはありません。
ヘラ絞り加工は、特性上、カバーをつけることができませんので、危険がともないます。何かあれば報告書を作成し、安全対策を徹底しているため、けがの発生は少ないものです。ただ新人社員には、小さな切り傷はつきものですので、その心配は予めお伝えしたいことです。